蓮の季節です
夏の訪れとともに、日本の各地で古くから愛されている伝統的なイベントが開催されます。それが観蓮会(かんれんかい)です。7月もまもなく終わろうという日に、横浜は三渓園の観蓮会に足を運びました。
観蓮会は、夏の暑い日々に咲く蓮の花を楽しむ行事で、その美しさと涼しさを求めて人々が集まります。
気温35℃だったので涼しくもなんともなく暑さにやられて早々に退散したわけですが。
以下、三渓園の案内です。
三渓園はもとはといえば明治・大正・昭和の前半期にかけて生糸貿易で財を成した実業家である原三溪の邸宅でしたが、現在は氏のご厚意により広く一般に公開されています。
その原三溪がことさら愛したのが蓮だそうで、園内には1700平方メートルもの蓮池が広がっています。蓮の品種は古代蓮だそうです。
園内には美術館もあり、時期によっては原三溪直筆の蓮の絵も展示されています。
三渓園に到着
雲ひとつない絶好の蓮見日和。蓮池は大きな蓮の葉がこれでもかというほどに茂り、その中に桃色の蓮の花が所々咲いています。
こんなに暑いのに葉焼けすることもなく太陽の光をさんさんと浴びているところを見るに、かなり暑さに耐性のある植物だなと思います。
いっぱいに開いた蓮の花が光に照らされて美しい。
花の先端から中央にかけて桃色から白へグラデーションがかかっています。
数はかなり少ないですが白い花も咲いていました。かつて三渓園には太白蓮という品種の白い蓮も植えられていたとのことで、その生き残りかもしれません。桃色の花と形は同じで、花びらの縁が一部桃色がかっていたので古代蓮の色抜けという可能性もあるでしょうか。
ちなみに白い蓮を見つけるとラッキーだそうです。
観蓮会は早期開園の他に工作やヨガなどの催し物や展示も開催されているようです。その中の一つがこの蓮の葉シャワー。蓮の葉の縁を切り取り、茎にホースを繋いで水を通すと葉の先端から水が吹き出します。
というのも茎の構造がシャワーのようになっているため。この穴は葉から取り込まれた酸素を根などに送る通気孔なのだそうです。
レンコンは蓮の茎が土中で太ったものなので、レンコンにも穴が空いています。
蓮の花の開き具合の変化
さて、ここで蓮の花の特徴について。
蓮の花は夜明け頃から開き始め、昼の12時頃には閉じてしまいます。開閉を繰り返しながら日に日に大きく開くようになり、4日目には花が閉じずに花びらが散ります。
こちらは開花前、次の日に開きそうな蕾です。
画像中央右側の丸くしぼんだ蕾はおそらく開花2日目、手前のほどほどに開いた蕾は開花3日目といったところ。
開花4日目になると、蕾は閉じずに花びらが散ってゆきます。
花の中心部には花托があり、穴からは雌しべが顔をのぞかせています。周りに雄しべが取り囲むようにわさわさとついています。
花が散ったあとは花托が肥大化し、種ができます。
花の開閉といえばチューリップもそうです。チューリップは温度差をトリガーとした花びらの内側外側の成長差によって開閉をしています。(温度傾性)
蓮の花の開閉のトリガーも同じく温度かと思って調べてみたところ、どうやら確かなことはよく分かっていないようでした。
開閉を起こすメカニズムは分からないにせよ、開閉には花びらの内側外側の成長差によって起こっていますから、咲きはじめよりも咲き終わりのほうが花自体は大きくなっています。
というわけで今年も蓮の花を満喫し、楽しい休日となりました。
いつか蓮を育ててみたいとは思うものの睡蓮鉢や池は管理が大変そうで導入のハードルが高いです…
小さめの設備で育てられる蓮もあるようなので、いつか覚悟が決まったらやってみましょう。
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三渓園について
アクセス
所在地:〒231-0824 神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1
営業時間
9時より17時まで(観蓮会開催時のみ 朝7時より)
定休日:12月26日から31日
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