ハスの花托が手に入った
毎年夏はどうしようもなく暑くて植物も管理人もくたびれていますが、その夏にしかお目にかかれないものがあります。その一つがこのハスの花。
梅雨が終わりいよいよ夏本番といった時期が訪れると、各地の庭園からハスの花が咲いた知らせが聞こえてきます。
ハスは花が美しいだけでなく、他にも様々な楽しみがあります。実は食材や漢方薬として利用されますし、根はもちろんレンコンとして利用されます。今回は運良く生のハスの実が手に入ったので詳しく見ていきたいと思います。
ハスの花托の観察
こちらが今回手に入ったハスの花托です。蓮台の穴の中に実がびっしりと詰まっています。
中国やベトナムでは生のハスの実を食べる習慣があるらしく、長年食べてみたいと思っていました。
こちらの花托、今は緑色をしていますが乾燥させると花材でよく見る蓮台になります。花托と種の水分が抜けて種と穴の隙間が広がっていますね。
身を取り出すために花托を割ってみます。花托の表面はシリコンのようなゴムのような不思議な感触ですが、内部はスポンジ質で中がスカスカしていました。感触としては蜂の巣に似ているかもしれません。
こちらの花托は比較的若いので、横からの厚みは5センチほどありました。花托は成熟が進むに連れて薄くなっていく傾向があります。
茎の断面図です。大きな7つの穴が空いていました。
縁を切ったハスの葉にホースを繋ぐとこのようにシャワーのようになります。おそらく葉の茎も同じような構造になっており、穴は葉にまで続いているのでしょう。
続いて実を見ていきましょう。
花托から取り出した実は楕円形をしており、中頃が黄色みを帯びています。
厚めの皮を向いてみると真っ白い実が顔をのぞかせました。外側の皮は1mmほどの厚みがあり、剥くのにある程度力がいります。
内側にも一枚、白い薄い皮に包まれていました。
実を割ってみたところ。左側が生のハスの実です。
中央に芽らしきものが見えますが、若い実だったためか白く小さいです。これがもう少し育つと緑色になり苦味を帯びるようです。
右側においたのは中国食材店で購入した乾燥蓮の実です。乾燥しても色は変わらず白のまま。なんとなく今回の生ハスの実より大きく丸い感じがしますね。
どうやらすべての種が受粉しているわけではないようで、いくつかは果実がない空の状態でした。
生ハスの実のお味は…?
そして肝心のお味はというと…タイトルにもしてしまっておりますが、生のとうもろこしのような味がします。
食感はシャクシャクしており、水分が多くみずみずしい。そこにほのかに甘さがあります。
茹でたり蒸したりすると食感がホクホクに変わるので、この味、食感は生ならではのものでしょう。
嫌味もなく飽きも来ない味なので、暑い季節にも食べやすい食材ではないかなと思います。
何事においても期待しすぎるとがっかりすることが多いものですが、数年来の期待に答えてくれるような味で非常に喜んでいます。
花托にはいくつか種を残して変化を見守りたいと思います。
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