自家製のそばが食べたい。管理人がひそかに持っていた願望です。
この度、亡き祖父の畑でソバ栽培をする機会に恵まれたため、農業は素人ながらソバの栽培に挑戦してみました。
栽培環境
場所
静岡県島田市某所。
気候は温暖な平地、背後には山が迫る土地です。
品種
ソコソコ倒れにくく育てやすいという「信濃一号」を選択。
知り合いのソバ農家さんから教えていただきました。
ソバはその土地に合ったものを育てるのがコツだそうです。
実は春に熊本の品種を栽培したのですが草丈が伸びなくて大失敗したのでした。
作付け面積
大体3アールほどの土地。
播種量は3kg。
条間は50㎝取りました。
生育記録
9/7 土づくり、第一陣植え付け
まずは土づくりです。
今回は肥料としてくみあい化成13号を20kg蒔きます。
背中のバッグに肥料を入れそこから伸びたノズルで肥料を撒けるイケてる器具を使い、肥料をまんべんなく撒いていきます。
肥料散布の後、トラクターで耕耘してゆきます。作付けを行う土地は粘土質で土が固まりやすいため、雑草をすき込みながら3回ほど入念に行いました。
その後、全体の1/3にあたる10列だけ種まきを行いました。
9/14 第二陣植え付け
1週空けて、残りの種も蒔いていきます。先週播種したところは既に芽が出ていました。
水も一切やっていないのに驚きです。
種まきには家庭菜園用の種まき機「ウルフガルテン」を使用しています。
器具の中に種を入れ、コロコロ回しながら種を蒔いてゆきます。条間は50㎝。
種を逐一入れなければならないのが面倒ですが、割と均等に撒けてイイ感じです。
撒いたところは足で踏んで軽く土をかぶせてゆきます。
ソバ農家さんに聞いたところによると、これ以降は一切作業しなくていいんだとか。
もっと規模が大きくなってきたらこういったトラクターの後ろにつける播種機なんかを導入したいところです。
9/28
播種から20日後の様子。随分葉が茂ってきました。
手前と奥で種を蒔いた時期に1週間違いがあります。生育の差が明らかです。
10/12 台風
今年大きな被害をもたらした台風19号により畑が水没しました。
翌日の畑の様子。
なんとか持ちこたえたようですがなんとなく倒れ気味に…
ソバの花盛りなのに台風にやられてしまい残念でした。
11/3 第一陣収穫
1週間先に蒔いたほうの実が茶色くなってきたので収穫を行います。
意外と実がついています。中身も入っていそう。
作物を収穫しつつ束ねてくれるバインダーという機械で収穫する予定だったのですが、台風等のせいでソバが倒れまくっているのでやむを得ず手刈りでの収穫となりました。
手刈り、腰がめっちゃ痛いです。
とりあえず10列刈って、軽トラック7割分くらいにはなりました。そのまま乾燥させて来週の収穫に備えます。
11/9 第二陣収穫 脱穀
1週間遅れて種まきをした個所を手刈りで収穫していきます。
しかし、今回は株間の雑草がものすごくはびこっていました。ソバはしっかり倒れているので雑草の中から刈り取らねばならずとても苦戦しました。
ソバの実の背景に見える白いものはソバの花ではなく雑草の花だったりします…
農家さん曰く、ソバは雑草よりも発芽が早いため雑草の日当たりを邪魔し、生育を抑制するとか。
しかし、今回刈り取った場所は播種までに1週間開いてしまったので雑草に追い付かれてしまったのかもしれません。
バインダーで刈り取ることを想定していたので株間を広めにとったのも雑草がはびこる原因になったようです。株間が広いと倒れやすくなるので次回はもう少し気をつけないといけません。
ちなみに農家さんのところの畑。雑草も目立たず綺麗です。倒れてもいない…!
余談ですが、収穫途中に綺麗な赤色のソバを見つけました。これはほかの品種と交雑してしまった場合に発生するとか。食味はおいしくないようです。
ソバの花粉は3キロほどの範囲で飛ぶらしいので、近所に赤色のソバを育てている方がいたのかも。
脱穀へ
そんなこんなで軽トラ2台分のソバが収穫できました。
ここから脱穀、乾燥、砂抜き等の手順を経て製粉をするのですが、手元には米用の機器しかないため農家さんにコンバインにかけて頂きました。
結構量が取れました!
3キロ播種して、31キロの収穫です。
とりあえず何とか収穫できてよかった…!緑の実もそこそこ含まれた香りの良いソバが打てそうです。
収穫を終えて
今回のソバ栽培を振り返ってみて失敗した点はやはり、ソバが倒れまくったことです。
倒れたことで収穫がものすごく大変になりましたし、脱粒も増えたのではないかと思います。
ソバはそもそも倒れやすい植物で、栽培する際には倒れないことはかなり重要なポイントとなります。
今回の栽培で倒れた要因として考えられることはこのあたりかなと思います。
- 肥料が多かった
- 条間が広かった
- 土が硬かった
- 台風のせい
以下に考察を書いていきます。
1.肥料が多かった?
肥料のやりすぎはソバの倒れる原因としてよく聞きます。今回の原因もそれなのでしょうか。
ソバの肥料の量の目安、普通そばの基礎的な栽培方法の資料を参考に今回の面積である3アール分の分量を出しますとこうなります。
- N(窒素):0.6~1kg
- P(リン酸):1.1~2.2kg
- K(カリ):1.6~3.3kg
今回の肥料、くみあい化成13号はN-P-Kが3-10-10となっています。
これを今回撒いた20kgの要素分に換算するとこうなります。
- N(窒素):0.6kg(許容範囲)
- P(リン酸):2kg(許容範囲)
- K(カリ):2kg(許容範囲)
すべての要素が許容範囲内でした。
とりあえず肥料のやりすぎが原因ではないような気がします。
2.条間が広かった?
今回の条間は50㎝で植えましたが、農家さんによるともっと詰めて植えたほうがソバ同士が支え合って倒れにくいとのこと。
来年は30㎝間隔くらいにしてみようと思います。
3.土が硬かった?
今回の畑はもともと田んぼだったものを畑に転用したので土壌が泥っぽく、水がかかると硬く固まってしまいます。そうなると当然根張りが悪くなり、倒れやすくなります。
そう思ってソバの根っこが普通どんなもんなのか探していたところ、ソバの根の写真を見つけました。
有機ソバの栽培方法及び有機ソバの収量増加方法よりお借りしました。
こちらの写真、ソバの圃場にクローバーの種を蒔いておくと収量が上がることを検証した実験の写真です。
クローバーとともに栽培したソバも、ふつうに育てたソバも今回私たちが栽培したソバよりも根が良く張っている気がします。やはり畑が根が張りにくい状態にあるのかなと思います。
ちなみに、この写真のクローバーと栽培したソバは根張りが良いのですが、それに伴って葉も多く、収量も2倍以上になったそうです。
根をよく張らせることで収量アップにもつながりそうです。
農家さんにお話をお聞きしてもできるだけ土を柔らかくした方が良いとのことなので、次回は緑肥や腐葉土、堆肥なんかをすき込んで土フカフカ作戦を実施したほうが良さそうです。
4.台風のせい?
台風後の畑でソバが倒れ気味だったことから、台風で風に吹かれて倒れてしまったというのは大いにあると思います。
しかし、同じように台風に遭ったのに農家さんの畑のソバは倒れていませんでした。
ソバの植え付け時期が私たちの畑よりも少し遅く、また山間部のため気温が低く少し成長がゆっくりだったのもあり…台風に遭った時にはまだ株の背が低く被害に逢いにくかったのかなと推測。
台風は暖かい時期のほうが発生しやすいのでもう少し播種は遅くてもいいのかもしれません。
収穫を終えた11月中旬でも十分暖かいですし。
これらを踏まえて来年どうするか
以上を踏まえて、来年の方針を立てました。
- 条間を30㎝にする
- 有機質を加えて土壌改良をする
- 植え付け時期を9月中旬から下旬にする
他にも気をつけることは今後出てきそうですがひとまずはこの方針で行こうと思います。
来年はもっと収穫できると良いな…!
蕎麦にしたらどうだったのか
その後収穫したソバを粉にして蕎麦屋さんに打ってもらいました。味はともかく問題だったのが蕎麦がつながらないことでした。
蕎麦屋の大将の言うことには、蕎麦がつながるためのタンパク質が少なめだったのではないかとのこと。今回のソバ栽培は、倒れたことだけではなく実の品質にも問題がありました。
花の時期に水没してしまったことが実入りに影響しているように思うので、畑の水はけをよくすることも成功するために必要なことと思います。
過去にソバの水耕栽培もしてみているのでよかったらご覧ください。
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