アクアポニックス日記、第5回です。
前回、大きな課題として挙がったのが水中の硝酸塩濃度が高すぎることでした。それを踏まえ、水中の硝酸塩濃度を低下させるためにクリスの餌減量と植物増加に取り掛かったのですが…
今回もいろいろと紆余曲折ありましたのでレポートしていきます。
植物を増加させたが…
前回の反省を踏まえ、ベッドの植物を増加させる試みを始めました。
別口で水耕栽培をしていたシソとバジルがあったので、それを植えてみます。シソ科の植物は水耕栽培しやすいですね。
1週間ほどでここまで茂りました。
ここまで茂れば硝酸塩濃度も下がっているであろうということでさらに1週間ほどおいてから計測しました。
今回の計測結果
硝酸塩 250ml/L
→前回と変わってないですね。
ここから導かれる仮説は2つ。
- 植物の硝酸塩吸収速度がクリスの排出速度を上回っているが以前の硝酸塩の濃度が高すぎてまだ計測可能な域(0~250mg)に達してない。
- 植物の硝酸塩吸収速度がクリスの排出速度を上回っていない。
しかし、この試験紙の計測濃度の最大が250mg/Lなので検証しようがありません。
ひとまず1の仮説を信じてもう少し様子を見ることにしました。
植物が枯れた…原因は?
さらに様子を見て1週間ほど。なぜか、みるみる植物が枯れていきました。
今まで硝酸塩が濃い水の中ですくすく育っていたのに…
(バジルやシソが枯れてしまったのでトマトを挿し木し始めています。)
原因を探るために、再度水質検査をしました。
今回の計測結果
- アンモニア 4.0mg/L(推奨:0.5mg/L 以下)
- 亜硝酸塩 ほぼ0
- 硝酸塩 250mg/L(推奨:10mg/L 以上)
アンモニア濃度が激ヤバでした。
推奨される量は0.5mg/L以下です。4.0mg/Lはすべての魚にかなり有害なレベルです。
過剰なアンモニアは植物にも有害です。
植物はチッソ(N)を硝酸態とアンモニア態で利用するのですが、アンモニア態は毒性が強いので過剰になると与えられると障害を引き起こし、植物を枯らしてしまうそうです。
また、土壌で植物を栽培する際に土壌中のアンモニア濃度が上昇するとアンモニアガスが発生し、障害を引き起こすことがあります。
(参考文献 季刊誌17号_植物の生理障害5)
今回は厳密には原因はわからなかったのですが、水中アンモニア濃度の上昇が植物を枯らしたのは間違いないようです。
水質悪化の原因は?
突如水質が悪化したのはアンモニアを分解する微生物が死んだのか?とも考えたのですが光や温度等はそんなに変化がないので違うだろうなと思っていました。
水槽内をじっくり見てみると、原因を発見。
原因は…石巻貝でした。
そういえばしばらく動かないなと思っていたら水槽の底で死んで腐っていました。
死んだ生物を分解する際に発生するアンモニアは現在いる微生物の処理速度を大幅に上回っていたようです。
図解するとこんな感じです。
石巻貝は淡水では死にやすいと言いますが、あまりにも早い…もしかしたら硝酸塩の濃度が高くて弱ってしまったのかもしれません。
可哀想なことをしました。
その後、アンモニア濃度が高すぎてクリスも危険なので2週間ほどかけて水替えとフィルター掃除をしました。
アンモニア濃度はほぼ0に戻り、硝酸塩濃度も下がりました。
計測結果
- アンモニア ほぼ0(推奨:0.5mg/L 以下)
- 亜硝酸塩 ほぼ0
- 硝酸塩 150mg/L(推奨:10mg/L 以上)
これからどうするか
今回は石巻貝死亡という事態のために水槽も植物ベッドもリセットな感じとなりました。
シソやバジルが育っていた際、あの分量の植物で水質浄化が達成できるのかを検証しきれていないので、再びベッドでの植物育成に励もうと思います。
現在、ベッドで育っているトマトを成長させつつ、定期的に水質を観察していきます。
そういえば、植物が十分育った時点で水を調整し、硝酸塩濃度を試験紙で計測可能な域にすればよかったなーと思ったので、次は忘れないようにしよう…。
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